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プロダクトデザイナー安次富 隆氏とのワークショップ&コラボレーション|コラボレーション

プロダクトデザイナー安次富 隆氏とのワークショップ&コラボレーション

安次富 隆氏作品

富山ガラス工房オリジナルそばちょこ、CHOCOは、富山ガラス工房スタッフとプロダクトデザイナー安次富隆によって制作された「CHOCO秘伝書」に従って制作されている。

「CHOCO秘伝書」とは

日本人なら誰もがイメージできる「そばちょこ」だが、その形態に明確な規格は存在しない。しかし、小さすぎるとぐい呑みに見え、大きすぎると小鉢になってしまう。また、ガラスで制作するとタンブラーやコップに見えることもある。そばちょこの明確な規格はないものの、実際にそばちょこを制作するのは難しい。そこで、富山ガラス工房が制作するオリジナルそばちょこ、「CHOCO」とはどういったものなのかを定義し、定番商品として代々受け継げる商品にするために作られたのが、「CHOCO秘伝書」である。
元来、日本には「秘伝書」や「とらの巻き」といった、モノの製法や武道などの極意を他に漏らさずに伝授する方法があった。そこには、単なる表層的なカタチの定義といったものだけではなく、モノづくりの精神性までが説かれていることもあった。心が込められて制作されたモノと、そうでないモノは 、意外と素人でも瞬間的にわかるものだ。いくら表層的なカタチを真似ても、精神性までは真似られないことを先人たちは熟知しており、それを秘伝書やとらの巻きという方法で、自分たちのオリジナリティーを保護したのだろう。そのような先人の知恵に学びアノニマスデザイン(自然発生的に生まれたデザイン)であるそばちょこに富山ガラス工房のオリジナリティーを見い出し、それを伝授する目的を「CHOCO秘伝書」は持っている。

「CHOCO秘伝書」は進化する

「CHOCO秘伝書」は未完成である。「CHOCO秘伝書」の内容を充実させるために、大きさやカタチの定義だけでなく、材料や作り方にも試行錯誤が繰り返されている。例えばガラスに金属を混ぜたり、カッティングや色出しに工夫を加えたりしながら、作家ひとりひとりが、自分のオリジナルちょこを創出すべく努力をしている。それらも随時、「CHOCO秘伝書」に加味される予定だ。また、 制作方法や表現方法だけでなく、ガラス作家がつくる作品ではなく「商品」としての流通 方法、販売方法、アフターケアの方法といった方法論や知恵までを「CHOCO秘伝書」に書き加えていく計画だ。

遺伝子組替え技術やビジネスモデルといった無形の知的所有権の保護も認められるようになった現在、CHOCOも、カタチや材料に関する物理的な定義だけでなく、商品の流通 や販売方法アフターケアや追加注文への対応方法などのソフトの定義も含んだ「CHOCO秘伝書」を知的財産として登録申請する予定である。

一器多用のそばちょこ

そばちょこと呼ばれるようになったのは、明治以降と言われている。江戸時代には、主として酢の物などを入れる向付(むこうづけ)用として使用されていた。大きさも大、中、小色々あり、総称して「ちょく」と言われていた。大きさによってそばつゆ用、天つゆ用、向こう付けや湯のみ、ぐい呑みなど、自由に用途を見立て「一器多用」に使っていた。現在でも、そばちょこは、そば汁入れとしてだけではなく、湯飲み、アイスクリームカップ、おつまみや酢の物入れ、中にはキャンドルスタンドや小さな植木鉢として自由に見立てて使われているのを目にする。

このように日本人には、一つの道具を多様に使いこなす習慣と自由な見立てを可能にする道具作りの文化があり、欧米のモノづくりのように、用途に応じて多種多様な道具を発明する文化と対照をなしている。 富山ガラス工房オリジナルそばちょこ、CHOCOも、単にそばちょことしてだけでなく、その色や柄に応じてアイスクリームカップやピクルス入れ、キャンドルスタンド、小物入れなど、自由に使い方を発想して使って頂ければ幸いである。

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